2026年9月29日
議事録の整形から文章校閲まで。基幹労連がAIエージェントで進める業務効率化と、次の担当者につなぐ知識の継承
— 組織独自の文書ルールや繰り返しの資料作成にENSOU AIを活用。日々の業務を支えながら、過去の取り組みを引き継ぐ仕組みづくりへ —


日本基幹産業労働組合連合会(基幹労連)
中央執行委員 企画調査部 / 政策企画局 平松賢治 様
政策企画局 長沼 天晴 様
ENSOU AI導入の背景と取り組みの効果
- 担当者が定期的に交代する一方、過去の取り組みや資料を踏まえた業務が多く、知識の継承が課題に。
- 多数の議事録の取りまとめや、組織独自の表記ルールに沿った文書作成に手間がかかっていた。
- 個人での生成AI利用が広がる中、内部情報を安心して扱える組織共通の利用環境が必要だった。
- ENSOU AIを導入し、組織内で生成AIを活用する環境を整備。
- スキル機能を使い、スプレッドシートに集まった議事録を、指定の体裁のWordファイルに整形。
- 内部の文言統一基準や規約・規程をもとにしたカスタムチャットボット(RAG)を作成。
- 議事録を共有用の文書に整える工程をAIに任せ、担当者が指定した体裁での出力を実現。
- 組織独自のルールに沿った文章校閲や、アンケートの特徴把握など、日常業務での活用が拡大。
- 講演資料の作成や企画の壁打ちにも使われ、利用者からは「エンちゃん」と呼ばれる身近な存在に。
- 議事録の整形・取りまとめ
- 文言統一基準に沿った文章校閲
- 内部規程の確認
- アンケート分析
- 講演資料の作成
- 過去資料をもとにした企画の壁打ち
導入団体概要
日本基幹産業労働組合連合会(略称:基幹労連)は、鉄鋼、造船、非鉄金属、建設など、日本の基幹産業で働く人々の労働組合が集まる産業別労働組合です。加盟組合とともに、労働条件の維持・向上や産業政策の推進などに取り組んでいます。[日本基幹産業労働組合連合会HP]
今回お話を伺った政策企画局では、いわゆる春闘に向けた方針や交渉資料の作成、最低賃金に関する取り組みの支援、各種調査・統計の集計や分析などを担当しています。
多くのデータと文書を扱い、過去の取り組みを踏まえて次の施策を考える。そのような業務の中で、ENSOU AIはどのように活用されているのでしょうか。導入の背景から具体的な使い方、今後の展望まで伺いました。
担当者が変わっても、過去の取り組みを引き継げるように

― 生成AIの導入を検討されたきっかけを教えてください。
平松様:最初から社内向けの生成AIサービスを探していたわけではありません。もともとは、最低賃金の取り組みに携わる方々に向けて、法律や過去の事例をすぐに調べられるチャットボット(外部向けサービス)を作れないかと考えていました。
いろいろな製品を調べる中で、社内向けのAIエージェントサービス ENSOU AIを見つけ、私たち自身の業務にも使えるのではないかと感じました。
労働組合の仕事は、過去に何をしてきたのか、どのような経緯があったのかを踏まえて進めることが多いんです。必要な情報を、蓄積してきた資料やデータを活用してすぐに確認できる仕組みには、大きな可能性を感じました。
― 特に、どのような業務課題を解決したいと考えていましたか?
平松様:一つは、担当者の交代に伴う引き継ぎです。私たちの組織には、基幹労連に雇用されている職員と、企業別の労働組合から来ている役員がいます。企業別の労働組合から派遣される役員は、2年もしくは4年でで元の組織に戻ることが通例です。
仕事を進めるうえでは過去の取り組みを踏襲しつつ、そのうえで状況に応じて修正していく必要があります。一方で、前任者と後任者が別の企業の労働組合の出身で、十分に引き継ぐことが難しい場合があります。そのため、資料をもとに経緯をたどれることが非常に大切です。
過去の情報をデータベースとして蓄積し、必要な情報にいち早くアクセスし、「以前はこうしていたから、今回はどうしようか」と考えられるようにしたい。人が替わっても取り組みの継続性を保てる仕組みをつくりたいという思いがありました。
もう一つは、安心して生成AIを使える環境です。個人で生成AIを使う人が少しずつ増えていたので、内部の資料やデータを扱うための環境を、組織として用意する必要があると考えていました。
選定の決め手は、使いやすさと相談できる安心感
― ENSOU AIを選んだ理由を教えてください。
平松様:自分たちの資料をAIに参照させる仕組みを作ろうとすると、費用的にも技術的にもなかなかに難しいところがありました。将来的には、それぞれの担当者が必要な情報を入れてチャットボットを作れるようにしたかったので、直感的に操作できることを重視していました。
また、費用面に加えて、提供元の顔が見え、信頼して相談できそうだという点も大きかったですね。Digeonが神戸大学発のベンチャーであることも、安心感につながりました。そうした点を総合的に見て、問い合わせをしました。
― 導入時や導入後のサポートで、印象に残っていることはありますか?
組織内の会議の進み具合に合わせて、トライアル期間を柔軟に調整していただいたことを覚えています。契約に向けた検討を内部会議で進めるうえで助かりました。
チャットボットを複数人で編集するための権限について相談した際にも、早く対応していただきました。実際に使う中で出てきた要望を相談できるのは、ありがたいですね。
集めた100件以上の議事録を、共有できるWordファイルへ
― スキル機能は、どのような業務に使っていますか?

長沼様:会議の議事録を取りまとめて、メンバーに共有する業務で使っています。複数の方から会議ごとの報告が届くため、整理する議事録は100件以上になります。
以前はWordファイルで集めて、それらを結合して発信していました。ただ、この作業にかなり労力がかかっていたので、もう少し仕組み化できないかと考えていました。
まず、Googleフォームで議事録を集めて、スプレッドシートに蓄積するところまではできました。ところが、そのままでは長文の議事録を読みやすく共有できません。集まったデータを、メンバーが閲覧しやすい形に整える工程が壁になっていました。
そこで、スプレッドシートのデータを共有用のWordファイルに整える部分を、ENSOU AIのスキル機能に任せています。体裁やまとめ方を指定して、一つのファイルとして出力してもらう使い方です。
― 実際に使ってみて、どのような点を評価されていますか?
長沼様:フォントを含め、文書の体裁まで細かく指定したスキルを用意しています。今のところ、かなり再現性の高い形で、毎回出力してくれていると感じています。
AIに同じことをお願いしても、少しずつ違うものが返ってくることはありますよね。繰り返し行う業務では、決めた形で出てくることが大事なので、その点は助かっています。
組織独自の文章ルールをAIに覚えさせ、文章校正を自動化。調査分析や講演資料にも活用
― カスタムチャットボットの活用例を教えてください。

平松様:一つは、規約や規程、内規をもとにしたチャットボットです。働き方に関するルールなどを確認するために使っている人がいます。
もう一つが、文章校閲のチャットボットです。労働組合の仕事は文章を取り扱う機会が多く、組織としての表記ルールもあります。例えば、「図る」という言葉はひらがなで「はかる」と書く、といった細かな決まりです。
そのため、内部の文言統一基準をもとに文章をチェックするチャットボットを作りました。内部の基準を優先し、迷う場合には公用文の作成に関する資料も参照するようにしています。文章をチャットボットに渡すと、私たちのルールに沿って校閲してもらえる使い方です。
― データの分析にも活用されているそうですね。

長沼様:直近では、約50問のアンケートに対して120件ほどの回答が集まった段階で、そのデータを読み込ませ、現時点での特徴を出してもらいました。
私たちは、調査結果を業種別や規模別に集計したり、いろいろな切り口で分析したりする仕事が多いんです。講師として研修会などに対応する前にも、集計結果や特徴を改めて確認するために活用しています。
― 周囲の方は、どのように使っていますか?
長沼様:講演の機会が多い人は、Wordの文章やラフな案をもとに、PowerPointの資料を作るために使っています。デザイン面も良くなってきていて、重宝されていると感じます。
過去数年分の資料を渡して、「今ならどのような内容にしたらよいか」と、企画の壁打ちに使う方もいます。文章のチェックも含めて、よく使う人はかなり使っていますね。「エンちゃん」と親しみを込めて呼んでいる人もいます。

AIの回答は、一次情報を確認して使う
― AIを業務で使う際に、大切にしていることはありますか?
平松様:AIが答えた内容を、そのまま書いたり使ったりするわけではありません。一次情報を見に行くことは、必ず発生するプロセスです。
チャットボットが出典を示してくれる点は、使っていて安心感があります。また今回、参照箇所をハイライトで確認できる機能の説明を受けて、必要な確認につながるのでありがたいと思いました。
日々のアシスタントから、次の担当者を支える存在へ
― 今後の活用に向けた課題や展望を教えてください。
平松様:事務所のなかでの利用の広がりには、まだ差があります。よく使う人がいる一方で、自分の仕事にどう使えるのかイメージできていない人もいます。
まだ活用していない人に対して、どのように使えば仕事を楽にできるのか、既存のシステムとの相性もありますが、それぞれの仕事に合う使い方を一緒に考えていきたいと思っています。
組織としては、やはり引き継ぎに活用できるようにしたいです。これからも企業の労働組合から派遣される役員は定期的に替わっていきます。そのときに過去の取り組みをきちんと引き継げるよう、情報を蓄積しながらENSOU AIを育てていくことが、今後の取り組みだと考えています。
日々の業務ではアシスタントとして使い、組織としては知識を次の担当者につないでいく。そうした活用を進めていきたいです。
― どのような組織にENSOU AIを勧めたいですか?
平松様:同じような課題を持つ労働組合には、ぜひ知っていただきたいですね。過去の資料がたくさんあり、それを踏まえて仕事をする一方で、担当者は替わっていく。これは私たち基幹労連だけの悩みではないと思います。
外部には出せない情報もあるので、安心して活用できる環境で資料を蓄積し、必要なときに調べられることには大きな意味があります。労働組合に限らず、人の入れ替わりが定期的にあり、過去の記録をもとに判断する機会が多い組織にとっても、役立つのではないでしょうか。
基幹労連様、インタビューへのご協力をありがとうございました。
今回印象的だったのは、集めた議事録を読みやすい文書に整えることや、組織独自の文章ルールに沿って校閲することなど、日々の具体的な作業にENSOU AIを活用されている点です。担当者が替わっても取り組みの経緯を引き継げるようにするという展望には、長年の知識と記録を持つ組織ならではの、生成AIへの期待が表れていました。
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