2026年10月7日
セキュリティとリスクマネジメントを軸に。神戸シティ・プロパティ・リサーチが全職員のAIエージェント活用を実現。
— 利用ガイドラインと研修で共通の土台を整備。日々の調査や資料作成を支えながら、職員が考え、地域と向き合う時間を生み出す —


一般財団法人 神戸シティ・プロパティ・リサーチ
代表理事 理事長 花岡 正浩 様
事務局長兼総務部長 米田 幹生 様
ENSOU AI導入の背景と取り組みの効果
- 少人数で幅広い事業を担当する中、情報収集や事例調査に1件あたり短くて1~2時間、長ければ3~4時間かかっていた。
- 面談記録を蓄積していても、過去に協議した事業者や関連事例を横断的に探すことが難しかった。
- シャドーAIが存在しており、組織共通の利用ルールがなく、業務情報の取扱いに不安があった。
- ENSOU AIを導入し、財団の業務に合わせて活用方法や運用を相談できる環境を整備。
- 生成AIの基礎や情報の取扱いを学ぶ研修を実施し、生成AI利用ガイドラインを策定。
- 面談前の調査、資料の要約・比較、報告資料のたたき台作成、企画の壁打ちなどに活用し、出力を人が確認する役割分担を明確化。
- 情報収集や事例調査にかかる時間が、1件あたり短ければ10分、長くても1時間以内に短縮。調査内容の要約をレポートにまとめ、移動中にも確認できるようになった。
- 新たな事業者との面談に向けた、月数件程度の事前準備では、作業時間を5~7割程度削減。
- 文書の要約や下書き作成をAIが支援することで、従来は複数の職員で分担していた作業を担当者自身で完結できるようになり、他の幅広い業務に対応する時間を確保。
- 企画や資料作成では、必要なときにすぐ相談できる壁打ち相手として活用。案件によっては、従来は検索・資料整理・原案作成に数日かかっていたものも、数分で検討のもととなる資料を作成し、数回の壁打ちを経て原案にまとめられるようになった。
- 面談前の情報収集
- まちづくり・不動産活用の事例調査
- 補助金募集要項の比較整理
- 議事録・メモの要約
- 報告資料・会議資料のたたき台作成
- 事業スキームの比較
- 企画の壁打ち
導入団体概要
神戸シティ・プロパティ・リサーチは、神戸のまちづくりに資する不動産や地域資産の有効活用、まちづくりに関する調査・研究を行う財団です。景観や文化財に関する指定・登録不動産をはじめ、地域にとって重要な不動産の活用可能性を検討し、地域活性化に向けた事例調査などに取り組んでいます。[神戸シティ・プロパティ・リサーチHP]
日々の業務では、事業者との面談や意見交換を通じてネットワークを築き、個別の不動産や地域課題に応じた活用方法を検討しています。その過程で扱うのは、事業者情報、面談記録、先進事例、契約や制度に関する資料など、多岐にわたる情報です。
こうした情報を適切に管理しながら、調査や資料作成を効率化し、職員が考え、関係者と向き合う時間を生み出す。ENSOU AIの導入背景から具体的な活用、まちづくりにおける生成AIへの期待まで伺いました。
導入の背景|情報収集・資料作成の負担と情報管理の課題

― 生成AIの導入を検討されたきっかけを教えてください。
花岡様:生成AIが急速に進化する中で、私たちの業務でも活用していく必要があると感じたことが出発点にあります。具体的には、まちづくりや不動産の転活用に関する情報収集、事例調査、資料作成を、より効率的に進めたいと考えました。
少人数で幅広い事業を担当しているため、調査や文書作成の負担を減らし、職員が企画や対人対応、判断に時間を使えるようにしたいという思いがありました。
そのためさまざまな情報整理をAIに支援してもらいたいと考えました。
― 導入前は、特にどのような点に課題を感じていましたか。
米田様:複数の資料やWeb情報を読み比べて全体像をつかみ、面談や会議で使える形にまとめる作業に負担がかかっていました。
また、蓄積した情報を横断的に探すことは容易ではありませんでした。これまでの相談・提案事案、事業者との協議や面談に関して、どの事例が参考になるのかを、すぐに確認できるようにしたいと考えていました。
もう一つは、業務情報を生成AIにどこまで入力してよいのかという不安です。個人的に生成AIを試していた職員はいましたが、財団全体で共通のツールや利用ルールが定まっていたわけではありません。こうしたシャドーAIのリスクに対応するためにも、情報の取扱いを個人の判断に委ねず、組織として安心して使える環境を整える必要がありました。
選定理由|セキュリティを重視した運用と業務に寄り添う導入支援
― ENSOU AIを選んだ理由を教えてください。
米田様:当財団は神戸市内に民間投資を誘発するというミッションがあり、地元関連企業でセキュリティとリスクマネジメントを重視しながら、財団の実際の業務に合わせて活用方法を具体化できるAI事業者にしようと、事業担当の大石さんと神戸の事業所にお伺いしました。若いスタッフの皆さんの発言にAI世界の日進月歩の進化に対応している力と未来への期待を感じました。
私たちは、総務事務をはじめ、不動産所有者や事業者との面談内容、事業の検討に関する情報などの中には慎重に扱うべき情報があります。そのため、機能の多さや回答の速さだけでなく、入力する情報の取扱いや利用ルール、導入後の支援体制も重視しました。
ENSOU AIは、業務に合わせた活用方法や、必要なカスタマイズ、運用設計を相談できる点が魅力でした。提案資料やレポート、メールなど、具体的な成果物ごとに、AIに任せる範囲と人が確認する範囲を相談しながら進められることが、大きな理由です。
― Digeonの導入支援で、印象に残っていることはありますか。
米田様:導入前の段階から、財団の業務や利用目的に合わせて柔軟に相談に乗っていただけたことです。当初は、どの業務で効果が出るのか、どの情報を扱えるのか、どのようなリスクに注意すべきかを、十分に把握できていませんでした。
Digeonには、生成AIの基本的な考え方や注意点を説明していただきながら、財団の業務を一つずつ確認し、活用できそうな場面を一緒に整理していただきました。
例えば、メモの要約や報告書の構成案づくりはAIに支援してもらいやすい一方、契約条件や権利関係の判断、外部への最終的な説明は人が担います。こうした切り分けを相談でき、運用開始後も疑問があれば相談できることに安心感がありました。
シャドーAI対策|生成AI研修と利用ガイドラインで、安全な業務活用の土台を整備

― 利用を始めるにあたり、どのような取り組みをされましたか。
米田様:生成AIの基礎知識や利用上の注意点を学ぶ研修を実施して頂き、生成AI利用ガイドライン策定の助言までご協力いただきました。
研修では、生成AIのグローバルな進歩の説明や基本操作に加えて、目的や前提、出力形式を明確にするプロンプトの考え方を学びました。また、誤った情報が出力されるハルシネーションや、個人情報・秘密情報の取扱い、著作権など、業務で使う際に注意すべき点も説明していただきました。職員にも理解しやすい内容だったと思います。
操作方法だけでなく、どのような場面で使い、どこから先を人が確認するのかを考える機会になりました。AIの出力を原資料や公的情報などと照合し、必要に応じて管理職や専門部署が確認するという基本姿勢を共有できたことが重要です。
今後は、基本操作に慣れた段階で、実際の業務に即した応用研修も行っていきます。
活用事例|情報収集・レポート要約・資料作成など

― 現在は、どのような業務でENSOU AIを使っていますか。
米田様:情報収集や事例調査、情報の要約・整理、資料作成の補助などに使っています。例えば、物件の調査等にあたり、各種の取り組みや業務内容を整理し、確認しておきたい事項を洗い出しています。
関連する文献や先行事例の調査、その内容の要約にも活用しています。条件や期限は更新される可能性があるので、最後は必ず原資料や公式情報を確認しています。
議事録やメモの要約、報告資料や会議資料のたたき台づくりにも使っています。長い資料を論点別に整理したり、報告書等の構成案を作ったりと、日々の業務の中で活用しています。
― 企画や検討を進める際にも使われているのでしょうか。
米田様:新たな取り組みに関するスキームの比較や、個別の課題に対する対応案を考える場面などでも使っています。IT基盤の再構築に関するプランの比較や、データの抽出・整理方法を検討することもあります。
AIと対話すると、頭の中にある考えを項目立てして整理でき、抜け漏れや別の視点を確認できます。企画や資料の壁打ち相手としても役立っています。
カスハラなど法制度の改正に伴う対策については、検討すべき論点を整理するために使い、原資料作成や専門家への確認につなげています。
導入効果|調査・資料作成を効率化し、職員の活用定着を支援
― 導入前と比べて、どのような変化がありましたか。
米田様:最も大きいのは、情報収集や事例調査にかかる時間が短縮されたことです。以前は1件あたり短くても1~2時間、長ければ3~4時間かかっていましたが、導入後は短ければ10分、長くても1時間以内で進められるようになりました。
これまでインターネット検索で時間をかけていた調査も、まず全体像を把握し、その後に必要な原資料を確認する流れを作りやすくなっています。調査内容の要約をレポートにまとめ、移動中に読むこともできるようになりました。面談前に相手先の取り組みや関連事例、確認事項を整理しやすくなり、限られた時間でも準備の質を高めやすくなったと感じています。
議事録の要約や報告資料のたたき台作成を支援してもらうことで、担当者は内容の確認や関係者との調整、判断を要する作業に時間を使えるようになりました。自分では気づかなかった確認事項や選択肢を洗い出すなど、検討の質を高める助けにもなっています。
― 職員の皆さんへの広がりはいかがですか。
花岡様:職員それぞれが、自分の業務に合った使い方を探しながら活用を進めています。具体的に使いたいテーマを持って取り組む職員もいて、今後は一人ひとりの活用の幅をさらに広げていきたいと考えています。
そのために大切なのは、日々の業務で困っていることや、負担に感じている作業と結びつけて、使い方を具体化することです。Digeonには、オンラインや訪問で一緒に操作しながら、実際の業務で使えるところまで支援していただいています。
使い慣れていく中で、「この業務にも使ってみたい」というテーマも出てくると思います。そのときにすぐ相談できることは心強いですね。こうした支援を受けながら、職員それぞれの業務に活用を根づかせていきたいです。
リスク管理|入力情報の管理と出力内容の確認を徹底

― 業務で生成AIを使ううえで、大切にしていることを教えてください。
米田様:AIに整理や比較、下書きを支援してもらい、その内容を職員が確かめて判断するという役割分担です。
AIの出力には、誤りや古い情報、根拠がはっきりしない記述が含まれる可能性があります。原資料や出典、関係者への確認を行い、法的な評価や対外説明、事業判断は職員が責任を持つことを重視しています。
入力する情報の管理も欠かせません。個人情報や営業上の秘密、非公開情報は入力禁止と決めています。入力できる情報や匿名化が必要な情報などの判断基準を明確にし、迷う場合に相談できる運用を整えていく必要があります。
花岡様:便利になるほど、自分で資料を読み、考える機会が減ってしまうのではないかという懸念もあります。分かりやすい説明が返ってくると、それだけで理解した気になってしまうこともあります。だからこそ、AIが整理した内容を吟味する姿勢を持ち続けることが大切だと思います。
生成AIへの期待|情報整理にとどまらず、アイデアを広げる
― 業務効率化の先に、生成AIに期待していることはありますか。
花岡様:情報を検索したり、決まった様式に素早くまとめたりすることに加えて、もっと創造的なことにも使ってほしいと考えています。
例えば、「私たちは何をすべきか」「神戸のまちづくりに何が必要か」といった問いを、自由に投げかけてみる。そこから自分にはなかった視点や発想を得て、考えを広げてほしいんです。職員自身の構想力を補うものとして、AIを活用できればと思っています。
AIの答えに刺激を受けて、「こういう考え方もあるのか」と自分の頭でも考える。そのような使い方が広がることを期待しています。
― AIの提案を実際のまちづくりにつなげるには、何が大切だと思いますか。
花岡様:AIは、筋の通った提案や、きれいに整理された答えを出してくれます。ただ、それを実際に形にするのは簡単ではありません。実行する段階では、人との関わりが出てきます。
私たちの仕事でも、事業者や地域の方々と話をしながら進める必要があります。案ができたから、そのまま実現できるというものではありません。
AIに支援してもらって生まれた時間を、さらに考えることや、関係者と向き合うことに使いたいですね。職員が自分で考え、行動するために、日々の仕事を助けてくれる存在になってほしいと思っています。
今後の展望|カスタムチャットボットによる面談記録の検索と報告書作成の効率化

― 今後、具体的に実現したい活用を教えてください。
米田様:カスタムチャットボットの機能などを使って、利用目的やアクセス権限を整理したうえで、蓄積したデータとWEB上のデータ双方を活用することなどを考えています。仕様書や報告書についても、必須項目と任意項目を区分設定して入力できるようにすると、所定の様式に沿ったたたき台ができる仕組みを整えたいと考えています。作成時間の短縮に加えて、検索等の機能の向上を図ることにもつなげたいです。
― 組織全体での活用を進めるうえで、目指している姿を教えてください。
米田様:まずは、職員が自分の身近な業務で労働生産性の向上を実感できることです。そのうえで、定型的な様式や報告書作成など、ENSOU AI上の繰り返し使えるスキル機能として共有していきたいと考えています。
活用事例とあわせて、安全に使える範囲や確認が必要な点も共有し、利用状況を定期的に内部報告し振り返りながらガイドラインを更新していくことにしています。
花岡様:情報整理や文書作成の負担を減らし、職員が地域との関係づくりや創造的な企画、事業判断に時間を使えるようにしたい。
安全な使い方と日々の便利さの両方を実感しながら、財団の実務に根づかせていきたいと考えています。
そして、AIとの対話を通じて、一人ひとりが発想を広げられるようにしていきたいですね。
神戸シティ・プロパティ・リサーチ様、インタビューへのご協力をありがとうございました。
今回印象的だったのは、安全な利用環境を整えながら、生成AIを職員の構想力を補う存在として捉えられている点です。情報収集や資料作成を効率化し、その先で「まちづくりに何が必要か」を考える時間につなげようとされています。
AIが示す提案を実行に移すには、地域や事業者との対話が欠かせません。蓄積した情報を次の相談につなげる仕組みづくりと、職員自身の発想や判断を支える活用。その両方を進める姿勢に、まちづくりを担う財団ならではの生成AIへの期待が表れていました。
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