【情シス担当が1日1時間を削減】社内問い合わせ対応を自動化する2つの方法


情シスの見えない負担:社内問い合わせ対応
「パスワードを忘れたんですが…」
「勤怠システムにログインできません」
「申請フォームってどこにありましたっけ?」
こんな社内問い合わせが、あなたの貴重な時間を毎日奪っていませんか?
多くの情報システム部門(情シス)では、社員の問い合わせ対応に多くのリソースを割かれています。また同じような問い合わせが別の人から何度も繰り返し来ることもあり、日々の負担が増えるということもよく発生します。
特に中小企業やスタートアップでは、1人から数人で数百人の従業員の問い合わせに対応するという体制が一般的です。その結果、本来注力すべきシステム改善やセキュリティ強化など、部署のミッションのひとつである業務に注力しきれないという状況が発生します。
しかし、最近では ChatGPT や Gemini などに代表される生成AIの技術や、チャットボットツールを活用し、社内問い合わせを大幅に自動化できる方法が次々と登場しています。
本記事では、情シス担当者が毎日3時間の業務負荷を削減できる2つの自動化手法を紹介します。
社内問い合わせを効率化する仕組みを知る
なぜ「社内問い合わせ」が業務時間を圧迫するのか?
まずは、社内で下記のような問い合わせ業務に対して、それぞれ時間を取られているとします。
問い合わせ例 | 想定回数/日 | 所要時間/件 | 合計時間 |
---|---|---|---|
パスワード再設定 | 10件 | 約3分 | 約30分 |
アカウント申請・使用手順確認 | 8件 | 約4分 | 約32分 |
Wi-Fi/VPN接続不良 | 5件 | 約5分 | 約25分 |
勤怠・経費システムの操作説明 | 4件 | 約5分 | 約20分 |
Excelの使い方 | 3件 | 約5分 | 約15分 |
合計 | 30件/日 | - | 約2.5〜3時間/日 |
この場合、1人あたり年間700時間以上が繰り返しの対応に費やされているということになります。これを少しでも自動化できれば、本来やるべき業務に時間をより多く費やすことができます。
社内問い合わせ対応を効率化する「2つの自動化テクニック」
RAGでマニュアル回答をAIチャットボット化
「マニュアルを見たら書いているんだけどな。」と思ってしまう問い合わせ、ありませんか?
多くの社員は、マニュアルがどこにあるかを知らない、また知っていても面倒なので読む気はない、といったことが良くあります。
そこで活用すべきが、 RAG(Retrieval-Augmented Generation という技術です。これは、AIが社内マニュアルなどの文書から必要な部分を自動で抽出し、自然な文で回答する技術のことです。これを使ってAIチャットボットを構築することで、マニュアルが読まれない、マニュアルを読む手間がある、と言った課題を解決することができます。
具体的には ChatGPT の GPTs や、 Gemini の Gems などの機能を使うことで、簡単にRAGを用いたAIチャットボットを構築することができます。この手順を具体的に解説した ChatGPT GPTs を用いて、社内ヘルプデスクを効率化する方法 の記事もご覧ください。
期待できる効果
- マニュアルがどこにあるか分からないという問題を解決できる
- マニュアルを読むのが面倒という問題を解決できる
- 既存のマニュアルを更新してアップロードするだけで定期メンテを完了
ChatGPT GPTs で社内ヘルプデスクのサービスを構築する例は下記の画像のとおり実施できます。

Googleフォーム+Slackで申請系問い合わせを自動処理
「Zoomのライセンス申請をしたい」「新しいアカウントを発行してほしい」
このような申請に関する問い合わせは、チャットボットが回答するだけでは解決しない問題です。こうした申請に関する問い合わせは、 Googleフォームなどによる申請フォームのテンプレート + メールもしくはSlackやTeamsなどのチャットツールへの通知が有効です。
単に業務の遂行に必要な情報を取得できるだけではなく、問い合わせや対応の履歴をスプレッドシートやExcelなどに残せるという利点もあります。
これによって問い合わせを受けてから必要な情報をヒアリングする、ヒアリングした情報をタスク管理表に転記する、などの手間を削減し、効果的に業務を進行することができます。
また、他にもトラブルシューティング系の複数回のやり取りが必要な対応については、フォームを提供してやり取りを効率化する方法が有効になります。
期待できる効果
- 不備のない申請情報を取得できる
- 「どこから申請すれば?」という質問自体が消える
- 担当者が手入力・転記をする必要がなくなる
Google Formであれば下記のように簡単に申請フォームを構築することができます。

期待される成果
これらの自動化に取り組むことで、下記のような成果を得ることができます。
自動化施策 | 削減時間 |
---|---|
フォーム+チャット連携 | 約30分 |
RAGによるAIチャットボット | 約30分 |
合計 | 1時間/日 |
まとめ
情報システム部門が直面する「社内問い合わせ対応」という見えにくい業務負担は、日々の生産性を大きく損なう要因です。繰り返される質問、申請処理、マニュアルの確認依頼、これらは積み重なることで、1日数時間、年間で数百時間にのぼる膨大な工数を奪っていきます。
しかし、生成AIやチャットボット、フォーム連携、自動応答技術の進化により、これらの業務は自動化・効率化が可能です。本記事で紹介した以下の3つの施策を導入することで、毎日1時間もの時間を取り戻すことができます。
- RAGを活用したAIチャットボットで、マニュアル確認の手間を削減
- GoogleフォームとSlack連携で、申請系業務を自動処理
こうした取り組みによって、情シスは本来担うべきシステム改善やセキュリティ強化、業務効率の全社的な最適化など、にリソースを集中できるようになります。
「今は忙しすぎて新しい取り組みに時間を割けない」と感じている方にこそ、最小の工数で始められる社内問い合わせの自動化は、業務の未来を切り開く第一歩となるはずです。まずは小さな取り組みから、ぜひ実践してみてください。
AIヘルプデスクに特化したツールを使用して更なる業務改善へ
ChatGPT GPTs によるヘルプデスク単体でも効果はありますが、さらに社内業務に特化したAIヘルプデスクSaaSと組み合わせることで、問合せ対応の可視化・蓄積・改善サイクルまで構築できます。
たとえば、Digeonが提供する ENSOUヘルプデスク では、
- AIチャットボットが問い合わせに自動対応
- AIが解決できない場合の問い合わせを一元管理
- 有人対応時にはAIエージェントがドラフトを自動作成
- 対応履歴を元にナレッジを自動生成してマニュアルの更新を提案
など、ENSOUのような業務特化型ツールを併用することで、“実務に使えるAI業務基盤”が完成します。
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