ChatGPT GPTs で社内ヘルプデスクの問い合わせ対応をAIで効率化する方法


なぜ、社内ヘルプデスクは疲弊するのか?
社内のITヘルプデスクや総務・人事などへの問い合わせ対応は、企業の成長に伴い増加していく一方で、社内の業務支援の観点ではなくてはならない業務のひとつです。
一方で、現在のヘルプデスク業務には下記のような課題があります。
- 毎日同じような質問が飛んでくる
- 対応する人によって回答品質がバラバラ
- マニュアルを整備しても、結局読まれない
- 担当者の退職や異動でノウハウが引き継がれない
このような課題に対して、現在は ChatGPT や Gemini などに代表される生成AIによるチャットボットによる効率化が注目されています。
本記事では、 ChatGPTの GPTs の機能を用いて、社内ヘルプデスクにおける問い合わせ対応を効率化する方法をご紹介します。
ヘルプデスク業務を効率化する仕組みを知る
GPTs とは?カスタムGPTの魅力
ChatGPTは、OpenAIが提供する自然言語AIであり、日常の会話から業務支援まで幅広く活用されています。そして、2023年11月のアップデートによって登場したのが、「GPTs(ジーピーティーズ)」という新機能です。
GPTsは、自分だけの ChatGPT を簡単に作成・カスタマイズできる仕組みです。これにより、企業や個人がニーズに応じた“専用AIエージェント”を構築し、より実践的に業務を自動化・効率化することが可能となりました。
カスタムできる主な要素としては、どのように回答をするべきかを明示する指示(instructions)と、チャットボットが参照するナレッジとしてのファイルがあります。
これによって下記のようなことが可能となっています。
- 社内ルール・業務フロー・マニュアルを事前に読み込ませる
- 定型文や口調などの出力スタイルもカスタマイズ可能
- 特定の質問形式や応対シナリオに最適化されたAIが作れる
- 全社で同じAIを共有できるため、対応品質を均一化できる
つまり、「読む必要のないマニュアル」「検索せずに使える社内FAQ」を、ChatGPTで再構築できるのです。
ChatGPT GPTs で社内ヘルプデスクAIを作る
ChatGPT の GPTs を用いて、社内問い合わせを自動で対応するAIチャットボットを構築する例を示します。
主に必要になるのは、下記の2点です。
- 社内ドキュメント、問い合わせ履歴、よくある質問などのファイル
- 回答の口調、回答時の注意点などをまとめたテキスト
必要なドキュメントを用意する
まずは GPTs にどんな回答をして欲しいのかを示す、ナレッジ(知識)に渡すファイルを用意します。社内ヘルプデスク業務であれば、下記のような種類のファイルを集めることになります。
- 業務マニュアル
- 問い合わせ対応の履歴
- よくある質問
GPTs のナレッジ(知識)には最大20件のファイルを含めることができ、また各ファイルのファイルサイズの制限は512MBまでとなっています。
基本的にこの内容に記載されている業務については一定の精度で回答ができますが、このファイル内に含まれていない場合は良い回答が返せない場合が多いです。そのため、事前にファイル準備で可能な限り多くの問い合わせを想定しておくこと、リリース後も継続的に改善を続けることも重要です。
GPTs を作成する
GPTs は、 ChatGPT > GPTs > 作成する から作成ができます。
作成時には下記のような画面が表示されるので、それぞれ必要な項目を入力していきます。

特にチャットボットの回答で重要になるのは、
- 指示
- 知識
の2つです。
一方でアイコン、名前、説明などはチャットボットの回答自体には寄与しないため、適当に分かりやすく設定さえしておけばOKです。
ここの知識には先ほど用意したファイルをアップロードします。
指示は社内ヘルプデスクであれば下記のような内容を記載します。
## 役割
あなたは社内ヘルプデスク業務を支援するAIアシスタントです。
社員からの問い合わせに対して、マニュアルやFAQに基づいた正確で簡潔な回答を提供します。
## 情報源の使用
必ず与えられたドキュメントを参照し、それに基づいた回答をしてください。
ドキュメントに情報がない場合は、必ず「参照できる情報が見つかりませんでした。詳しくは<担当部署 担当者連絡先>までご連絡ください。」と伝えてください。
## 口調
- 丁寧語(ですが、ます調)で話してください。
- 箇条書きを活用して見やすくしてください。
- 必ず冒頭で質問の要約を1文で伝え、そのあとに具体的な回答を提示してください。
- 参照すべきマニュアル名・ページ・リンクがある場合は必ず明示してください。
またこれらの指示だけで回答が上手くいかない場合があれば、「この質問の時はこの通り回答して下さい。」などの具体的なQAの例を含めるなども考えます。
今回は下記のような GPTs を作成してみます。

プレビュー機能での動作確認
GPTs の作成時には画面右側の「プレビュー」を用いた動作確認ができます。

実際に過去に来た問い合わせの内容などを入れてみて、適切に回答ができているかを検証します。そこで回答が意図したものでなければ、知識に含める内容を追記したり、指示に明示的にQAの例を追加するなどして、回答の精度を高めます。
チームに共有する
必要な設定と動作検証を終えると、画面右上にある「作成する」ボタンを押下することで、構築したチャットボットの情報を保存できます。
このとき、画面のように「アクセス」という項目を設定でき、「社内のみ」や「社内+リンクを知っている人」などの設定ができるため、自社の用途に合わせてこちらを設定します。

特に社内ヘルプデスクをこなす最初のAIチャットボットの場合は、少し慎重に利用を広げることも必要なため、社内の一部の人にのみ共有して、そこでの回答の精度や利用の定着が上手く行った時に、社内全体に共有して利用者を一気に増やしていく、などの運用も考えられます。
まとめ
社内ヘルプデスクが疲弊する最大の原因は、繰り返される問い合わせ、使われないマニュアル、属人化した対応にあります。そして、それらは放置すればするほど、チーム全体の生産性とナレッジ資産の価値を下げていきます。
そこで有効なのが、 ChatGPT の GPTs を活用してAIヘルプデスクを構築するという対応です。
- マニュアルや FAQ を GPTs に読み込ませる
- 口調や回答形式を指定し、誰でも統一的な対応ができるようにする
- プレビュー機能で動作確認を行い、継続的に改善
- 社内で安全に共有し、使う人・場面を徐々に広げていく
このように ChatGPT GPTs によって、生成AIによって問い合わせ対応の属人性を取り除き、ナレッジの定着と再利用を自動化することができます。
そして、さらに本格的な運用や改善サイクルの確立を目指すなら、ENSOUヘルプデスクのようなAI業務特化型ツールとの併用も視野に入れてみてください。
社内の問い合わせ対応に時間を奪われる日々から、価値ある業務に集中できるチームづくりへ、この記事がその第一歩となれば幸いです。
AIヘルプデスクに特化したツールを使用して更なる業務改善へ
ChatGPT GPTs によるヘルプデスク単体でも効果はありますが、さらに社内業務に特化したAIヘルプデスクSaaSと組み合わせることで、問合せ対応の可視化・蓄積・改善サイクルまで構築できます。
たとえば、Digeonが提供するENSOUヘルプデスクでは、
- AIチャットボットが問い合わせに自動対応
- AIが解決できない場合の問い合わせを一元管理
- 有人対応時にはAIエージェントがドラフトを自動作成
- 対応履歴を元にナレッジを自動生成してマニュアルの更新を提案
など、ENSOUのような業務特化型ツールを併用することで、“実務に使えるAI業務基盤”が完成します。
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