2025年12月13日
【検証】GPT-5.2 vs Gemini 3 Pro:ビジネススライドをより綺麗に作れるのは?
2025年12月12日にOpenAI社よりGemini3の対抗馬と思われるGPT - 5.2のリリースがされました。この記事では賢くなったGPTとGeminiの両者をスライド生成の観点から徹底比較します。

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生成AIにスライドを生成させる上でのポイント
生成AIにスライドを作らせるときは、「何を伝えたいか」を先に固めるのがいちばん重要です。目的、想定する聴衆、発表の持ち時間、結論の一文を最初に渡すだけで、構成の精度がぐっと上がります。
次に、出力に関する条件も具体的にプロンプトに盛り込みましょう。
ページ数、1枚あたりの要点数、トーン(口調)、使用したい用語、NG表現、社内テンプレの指定などを明記すると修正する手間が減ります。
数値や固有名詞は誤りやすいので、出典付きで与えるか、生成後に必ず一次情報で確認するのが望ましいです。
最後に、AIの案は「スライド作成のベース案」と割り切り、タイトルの言い切り、図表の整合、読み上げたときの流れを人が整えると、会議で通る仕上がりになります。
Gemini 3Proでスライドを生成する方法
Step1:スライドの構成案を考えさせる
はじめに、対象となる聴衆、想定する枚数、目的、必須要件、盛り込みたい内容などを明確にしたうえで、「構成案の作成」を依頼するプロンプトを入力します。出力された構成が意図と合致しているかを確認し、不足や過剰、論点のズレがあれば追加条件を提示して調整します。初期段階で構成精度を高めることが、後工程の手戻りを抑えるポイントです。
Step2:生成した構成案を元にスライドを生成させる
構成案についてAIと認識合わせができたら、その内容をベースにスライド生成を実行します。Step1で作成した構成をそのまま投入し、体裁やトーン、図表・画像の要否などの指示を加えることで、完成度をさらに高められます。実際の画面例、注意点、プロンプトの具体例については、弊社ブログ「Gemini 3を使って業務で使えるスライドの作成方法を徹底解説」もご覧ください。
ChatGPT 5.2 Thinking/Proでスライドを生成する方法
本章では、ChatGPTを用いたスライド生成の手順を解説します。ChatGPTでスライドを作成する場合、モデルはThinkingまたはProのいずれかを選択する必要があります。体感では、両者には生成完了までの時間に明確な差があり、Thinkingは比較的短時間で応答が得られる一方、Proはより長い処理時間を要する傾向があります。
そのため、時間制約のある状況で一定品質の成果物を迅速に用意したい場合はThinking、品質を最優先してより完成度の高いスライドを求める場合はProを選択する方針が合理的です。
なお、スライド生成の具体的な進め方自体は、Geminiを用いた手順と大きく変わらず、構成案の作成とそれに基づく生成という流れで進めます。
Step1:スライドの構成案を考えさせる
Geminiでの作成手順と同様に、スライドの枚数、想定する聴衆、目的、盛り込むべき要素などを明記したプロンプトを用いて、まずは構成案の作成を依頼します。この段階で重要なのは、アウトプットの方向性が自身の意図と一致しているかを確認し、ズレがあれば追加条件や優先順位を提示して調整することです。できる限り具体的かつ詳細に要件を共有し、AI側の理解を揃えた状態にしてから次工程へ進むことで、後の修正工数を抑えられます。
Step2:生成した構成案を元にスライドを生成させる
Step1で確定させた構成案を入力し、スライドをエクスポート可能な形式で出力するよう指示します。生成には一定の時間を要しますが、完了後にはダウンロード用のリンクが返されるため、取得したファイルをベースに最終調整を行います。
Gemini3ProとChatGPT 5.2Thinkingで生成したスライドを比較
スライド生成の比較検証にあたり、状況設定や架空の企業情報などの前提条件を含むプロンプトを作成し、各モデルに入力しました。このプロンプトは、前述のStep1にあたる「スライド構成案の生成」を目的としたもので、以降のスライド生成結果を同一条件で評価するための基準として位置づけています。
スライド構成案の生成用プロンプト
# Prompt 1: 生成AI 社内周知スライド案を生成(全11枚)
あなたは情報システム部の責任者です。非エンジニア向けに、生成AIの社内利用ルールを説明するスライド案を日本語で作成してください。
要件:
- 全11枚
- 各スライドは「タイトル」「メッセージ1行」「箇条書き最大4つ」
- 難しい用語は禁止。必要なら注釈を1行だけ
- “禁止事項”と“推奨事項”を必ず具体例で示す
- 「情報区分(公開/社内/秘/個人情報)×入力可否」の表を1枚入れる(文字ベースで可)
- 「申請フロー」を1枚入れる(箇条書きの手順で可)
- 最後は「今日からできる3つ」と「問い合わせ先」で締める
前提(一般化してよい):
- 社外秘、個人情報、認証情報は入力禁止
- 要約、下書き、壁打ちは推奨
- 出力は必ず人が確認し、責任を持つ
- 社外提出物に使う場合はレビュー必須
追加条件:
- 経営企画と情報システムの両方が納得する内容にする
- “止めるルール”より“安全に使うルール”のトーンにする
以下の「社内前提(ダミー)」を反映してください:
# 社内前提(ダミー): デモ用にそのまま貼れる想定情報
company_profile:
company_name: "サンプル電機株式会社"
employee_count: 850
locations:
- "東京本社"
- "大阪支社"
business_overview: "BtoB向け機器の製造・保守。営業とサポート部門のドキュメント作成が多い。"
ai_usage_policy_scope:
target_users: "全社員(派遣・業務委託は別途申請)"
allowed_use_locations: "社内ネットワークおよび会社貸与端末のみ"
prohibited_devices: "私物端末、個人アカウントの利用"
policy_effective_date: "2026-01-05"
policy_owner: "情報システム部"
approved_ai_tools:
- tool_name: "ChatGPT Enterprise(社内契約)"
allowed: true
notes: "業務利用の標準。入力データは社内ルールに従う。"
- tool_name: "Microsoft Copilot(M365連携)"
allowed: true
notes: "社内文書の下書きに使用可。共有範囲に注意。"
- tool_name: "個人契約の生成AIサービス"
allowed: false
notes: "原則禁止。例外は申請で許可。"
information_classification:
categories:
- name: "公開情報"
examples: ["公開Webサイトの文章", "公開プレスリリース", "一般公開の製品カタログ"]
input_rule: "入力可"
- name: "社内情報"
examples: ["社内規程(一般条文)", "会議アジェンダ(機密含まず)", "手順書(機密を除く)"]
input_rule: "条件付きで入力可(要約・抽象化し、固有名詞を外す)"
- name: "秘(社外秘)"
examples: ["未公開の価格表", "顧客別提案資料", "未公開のロードマップ", "契約条件の詳細"]
input_rule: "入力禁止"
- name: "個人情報"
examples: ["氏名+連絡先", "人事評価", "健康情報", "本人識別番号"]
input_rule: "入力禁止"
credentials_and_secrets:
examples: ["APIキー", "パスワード", "アクセストークン", "秘密鍵", "認証コード"]
input_rule: "入力禁止(スクリーンショット貼付も不可)"
recommended_use_cases:
- "文章の要約(社内資料を抽象化して箇条書き)"
- "メール・議事録・稟議書の下書き(固有名詞は仮名に置換)"
- "会議アジェンダ作成、論点整理、リスク洗い出し"
- "FAQ案・マニュアルのたたき台作成(最終版は担当者が確認)"
- "翻訳(機密を含まない範囲)"
prohibited_use_cases:
- "顧客名・案件名・契約情報を含む内容の入力"
- "個人情報の入力(名刺情報、問い合わせ履歴の生データなど)"
- "社外秘資料のコピペや全文貼付"
- "ソースコードや設定情報の丸投げ(機密リポジトリの内容貼付)"
- "生成物を未検証のまま社外に提出すること"
quality_and_responsibility:
human_review_required: true
review_points:
- "事実関係(数値、固有名詞、日付)の確認"
- "機密・個人情報の混入チェック"
- "著作権侵害や引用ルール違反がないか"
disclaimer_for_internal_docs: "生成AIの出力は下書き。最終責任は作成者が負う。"
disclaimer_for_external_docs: "社外提出物はレビュー必須(承認フロー参照)。"
external_sharing_rules:
allowed_if:
- "上長レビュー済み"
- "機密・個人情報が含まれていない"
- "出典や根拠が明記されている(必要な場合)"
prohibited_if:
- "顧客固有情報が含まれる"
- "契約条件・未公開価格・未公開戦略が含まれる"
note: "社外提出物に生成AIを使った場合、必要に応じて『一部に生成AIを利用』の注記を入れる。"
prompting_tips_to_include:
good_prompt_template:
- "あなたは(役割)です"
- "目的は(ゴール)です"
- "前提・制約は(禁止事項、対象者、トーン)です"
- "出力形式は(枚数、見出し、箇条書き)です"
- "最後に(チェック観点)を付けてください"
mini_examples:
good: "この文章を要約して、意思決定に必要な論点を5つに整理して。固有名詞は伏せて。"
bad: "この顧客の契約書全文を貼るので、リスクを指摘して。"
application_flow:
when_needed:
- "個人契約ツールを例外的に使いたい"
- "社外提出物で生成AIを使う(ルールで必須)"
- "社内情報のうち、例外的に具体情報を扱う必要がある"
steps:
- "申請フォームに入力(利用目的、対象データ、利用ツール、期間)"
- "所属長の承認"
- "情報システム部の確認(データ区分、設定、ログ、権限)"
- "必要に応じて法務・セキュリティレビュー"
- "利用開始(期限付き)"
sla: "申請から3営業日以内に一次回答"
application_form_url: "https://intra.example.com/forms/ai-usage"
contact_channel: "#help-ai(社内チャット)"
contact_mail: "[email protected]"
faq_seed:
- q: "社内情報はどこまで入力していい?"
a: "固有名詞や数字を外して要約・抽象化するなら可。秘や個人情報は不可。"
- q: "生成結果が間違っていたら?"
a: "必ず一次情報に当たり修正。最終責任は作成者。"
- q: "社外資料に使っていい?"
a: "レビューと承認が必須。申請フローに従う。"
- q: "ログは残る?"
a: "社内契約ツールは監査目的でアクセスログが残る(内容の取り扱いは規程に従う)。"
画像のようにそれぞれ構成案を得ることができました。
今回はデモなので修正する必要が特になく、このままスライドを生成することにします。
スライド生成用プロンプト
では、この構成案をもとにスライドにエクスポート可能な形でスライドを作成してください。こちらがそれぞれのモデルで生成されたスライドの抜粋になります。
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Gemini 3 Proでスライドを生成した場合、ChatGPT 5.2 Thinkingと比較して修正箇所が少ない印象でした。
表現が自然で、製品名の省略は一部見られるものの、レイアウトも一定水準で整っており、初稿の完成度が高いと評価できます。
一方、同一プロンプトをChatGPT 5.2 Proで実行すると、テキスト品質とレイアウト精度はGemini 3 Proと同等レベルまで向上し、両者の差は限定的でした。
ただし、Gemini 3 Proはイラストや画像などの視覚要素をスライド内に含められる点で優位性があります。
画像の要否は利用シーンにより異なるものの、プロンプトで調整できることを踏まえると、総合的にはGemini 3 Proがより使い勝手の良い選択肢と結論づけられます。
※Gemini3Proでスライドを生成した場合はGoogleスライドで、ChatGPTでスライドを生成した場合はPowerPointで編集することができます。
まとめ
この記事では、Gemini 3 ProとChatGPTによるスライド生成を、状況設定や架空企業情報を含む同一プロンプトで比較しました。
手順はいずれも、まず聴衆や目的、枚数、必須要件を明記して構成案を作らせました。次に、生成された構成案をもとにエクスポート可能な形式でスライドを生成させ比較を行いました。
ChatGPTの場合は生成後はダウンロードリンクから取得し、Geminiの場合はそのままGoogleスライドを作成して編集することが可能です。
品質面では、Gemini 3 Proは文章が自然で初稿の完成度が高く、修正が少なく済む印象でした。また、画像やイラストを含められる点も便利です。ChatGPTはモデル選択が重要で、Thinkingは短時間で形にしたいとき、Proは時間をかけて高品質に仕上げたいときに向いています。総合的にはGemini 3 Proが使いやすい一方で、GPT 5.2 Proもかなり拮抗しており、最終的には用途や好みで選べるレベルだと感じました。
日々生成AIをビジネスシーンにおいて活用していくことは重要になってきています。
株式会社Digeon では法人向けにGPT-5.1(GPT-5.2対応予定)をセキュアに使えるサービスである「ENSOU AI」を提供しています。
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